切断機・埋込機・研磨機から消耗品まで メタログラフィ事業部
03-5907-1774

ハルツォク情報掲示板

  • その他
2022.09.26

日本の品質を支える試料研磨の世界とは…

試料研磨とは組織観察や断面検査等を行う為に、表面の状態を見たい材料をひたすら磨き上げる行為です。金属顕微鏡や電子顕微鏡(SEM、TEM等)で観察をするので鏡面仕上げは当たり前。そこからさらに目視では見えない傷を消す為、鏡面の向こう側まで磨き上げます。度が過ぎるこの磨き上げは琢磨(たくま)とも呼ばれています。そんな普段気にも留めないが、実は我々の生活を影の影から支えてくれている試料研磨の世界をご紹介します。

磨き上げられ傷や曇りの無い材料の表面にはその組織が浮かび上がり顕微鏡で観察すると、どんな物質がどのような組織を形成しているかを視覚的に解るようになるのです。生き物で言えば細胞の観察をしているようなものです。

試料研磨で下記のような事が解ります。

・狙った通りの組織を形成しているか

・鋳物の巣割れ等の欠陥が無いか

・溶接の接合部に不良が無いか

・表面処理の深さは適切か

・半田やスルーホールのが適切な状態か

・ピンホール、クラックが発生していないか

等々、様々な検査の現場で品質、安全の為に試料研磨は日々行われています。

画像1

試料研磨を行う前に、まず研磨する試料を切り出す切断作業を行います。この切断では、真っ直ぐ平坦な切り出しが要求され、傷や焼け等のダメージを最小限に留めなければなりません。切断時のダメージが大きければ大きいほど、組織の歪も大きくなり深くまで影響を与えます。この為、組織観察の試料切断には必ず精密切断機による切り出しが不可欠になります。

そして、切り出した試料はそのまま研磨することは少なく、多くの場合試料を樹脂に埋込みます。そのまま研磨すると、試料のエッジに掛かる負荷が高くなる為、ダレが出てしまいます。さらに、研磨紙やバフ等にも傷をつけしまうので、試料研磨では埋込をするのですが、これもまた一苦労な作業なんです。

そして、ようやく研磨作業に入るのですが、試料研磨が難しいと言われる理由が、そもそも試料研磨には「正解がない」からです。100種類の試料があれば、100種類の研磨方法を考えないとなりません。同じ試料を研磨しても100人いれば100通りの研磨方法になるでしょう。「こんな感じの研磨工程を踏めば、いい感じになると思います。」みたいな、フワッとしたことしか言えないのです。実際に試料研磨の「教科書」は無く、事例を上げて説明する「参考書」が少し出回っている程度です。その為、答えは自ら導き出すしかありません。

このように「試料研磨」は研磨の膨大な知識が必要な上に、切断、埋込の含めた試料作成技術、さらに顕微鏡を使った観察眼、素材に対する深い知識や経験が求められる、奥の深すぎる世界なんです。

試料研磨を専門に行う人たちは『メタログラファー』と呼ばれ、昭和の時代には、この多くの匠たちが日本の品質を世界一まで向上させました。しかし、近年は人手不足による効率化の波が押し寄せ、試料研磨も自働化が進みました。これは、世界との品質の差が小さくなっていることを意味しています。

しかし、日本製品の最大の武器はやはり品質です。それは、日本人特有の真面目さ緻密さが最も求められる分野でもあり、他国に真似出来ない領域と確認しています。弊社は、日本企業が世界一の品質であることを誰もが認める未来を目指し、微力ながら品質管理の現場をこれからも全力でサポートして参ります。

関連記事

関連製品

TOP