研磨消耗品の豆知識

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最後の工程の研磨は最も条件出しに時間が掛かる工程です。「面だし」、「中間研磨」、「仕上げ研磨」と3つのステップを踏みます。どのステップでも適切な処理が出来ていないと最終的に観察したい面が得られません。
「面だし」は埋込試料の観察面を平坦にする事と観察目的位置まで研磨する事です。埋込時に試料が傾いている等は切断、埋込からやり直した方が結果的に作業時間を短縮出来る場合が多々あります。
「中間研磨」は面出し後のキズを取除きある程度組織が見える状態まで持っていきます。この時にダレ(試料と樹脂に段差が出来る)や一部だけキズが消えないといった場合は面出しからやり直す必要があります。
「仕上げ研磨」は細かなキズを取除き歪みの無い組織を観察出来る状態にします。仕上げの段階で大きなキズが見つかる場合は研磨条件の見直しが必要かもしれません。
耐水研磨紙
最も一般的で多くの方が使用されています。シリコンカーバイト(SiC)の砥粒が紙に固定されたものです。「のり無し」と「のり付き」が有り作業性やランニングコストを考慮し選択します。
「のり無し」は研磨盤に水を張りその上に研磨紙を乗せ回転させて貼り付けます。その際に固定リングを付け研磨紙のロールを防ぐために固定リングを使用します。安価で使いやすいですが、固定リングに隠れる箇所は研磨が出来ない事と、高い圧力を掛けた場合に紙が動く場合があります。
「のり付き」は裏面がシールになっており金属板に貼付けて使用します。固定がしっかり出来て取外しも簡単で固定リングも無いので全面使用できますが「のり無し」に比べるとコストが高くなってしまいます。
弊社ではJIS規格の耐水研磨紙 #80〜#2000とアメリカ規格の耐水研磨紙800、1200(#2400、#4000)をご用意しております。ヨーロッパ規格の耐水研磨紙もご用意出来ますが若干コストが上がります。
番手の数字は国による規格で違いがあり、さらにメーカーにより同じ番手でも違いがありますので、実際に研磨して確認する事が必要です。複数のメーカーから研磨紙を購入する場合は番手の管理に注意が必要です。
下記の表は弊社で取扱をしているJIS規格、ヨーロッパ規格、アメリカ規格の研磨紙の番手と粒度を割当てたものです。同じものではありませんが一つの目安としてご参考下さい。
JIS規格(#)ヨーロッパ規格(P)アメリカ規格粒度(μm)
4000400012004
24008006
200024008
1500200010
1200150015
1000120060018
800100020
600800 or 60040030
500600 or 50035
400500 or 40032040
32032050
24022060
220180 or 22018070
18018018080
120120120120
8080180
研磨工程の番手の組み方は基本的に倍ずつ増やしていきます。
例)
#120 → 240 → 500 → 1000
#180 → 400 → 800 → 1500
というような基本的な番手の組み方を試し、各工程を観察しながら番手の微調整していきます。
また、耐水研磨紙の寿命は1分程度と言われていますが、ランニングコストを抑えるために多くの方は1分以上ご使用されていると思います。1分を目安に研磨条件を変える、試料を軟らかいものだけにする等で使い分けるとコストを抑えながら安定した研磨結果が得られます。
ダイヤモンドパッド
レジンボンドにダイヤ砥粒を混ぜて金属板やシートに接着したものです。番手は#80〜#1500までご用意しております。硬い試料に対し軟い樹脂だけ削れていくダレの現象が少ない研磨面が得られるので面出しにも有効です。砥粒がダイヤモンドなので研磨紙より切れ味がありますが当たりが軟らかいので研磨紙の同じ番手より小さいキズになります。ライフは試料により変わりますが、一般的に研磨紙100枚分と言われています。 この他に、ボンドの硬いものやメタルボンドのダイヤパットがあります。切れ味が良くダレが出にくい特徴をさらに特化させた高性能ダイヤパッドです。
ラッピングフィルム
フィルムシートに砥粒を接着したものです。高い平坦性が得られる事が特徴です。電子材料等精密な研磨に適しています。当たりが強いので実際の砥粒径より大きいキズが付きます。
硬質研磨バフ
研磨紙、ダイヤパットで研磨をした後に使用し中間研磨と呼ばれます。研磨から琢磨(仕上げ研磨)へ橋渡しをする為の重要な工程で、大きなキズが入った観察面を微細なキズにし、ある程度組織が見える所まで追い込みますが、バフの工程からダレに気を付ける必要が出てきます。硬質バフは一般的に織布か不織布から選択します。様々な種類があり一概には言えませんが織布は研磨力はあるがダレやすい、不織布は研磨力は落ちるが縁ダレしにくいという傾向にあります。多くの方からこの工程のバフ選びが上手くいかないとご相談を頂きます。上手く条件が出ない場合は硬質バフ研磨を2工程に増やす等が必要になるかもしれません。試料に付いた大きな傷を消すことはもちろんですが、ダレを極力出さないことが大切です。
織布を選択する際には糸の材質と織り方を注意して見てください。不織布を選択する場合は表面処理の状態とクッション性(密度)を注意して見てください。
織布の特徴
糸の材質硬いダレが出にくいが大きなキズになる
軟い大きなキズはないがダレが出やすい
織り方粗い研磨力があるがダレが出やすい
細かいダレは出にくいが研磨力が若干落ち、表面に研磨屑が残る場合があり大きなキズを付ける事がある
不織布の特徴
表面処理の状態毛羽立ち多い安価だが研磨力が弱くダレが出やすい
毛羽立ち少ない高価だが研磨力がありダレが出にくい
クッション性硬いダレが出にくいが大きなキズになる
軟い大きなキズはないがダレが出やすい
硬質バフでは研磨材6〜15μm程度を使用します。研磨材との相性を見ながらバフ選びをすることも大切です。
軟質研磨バフ
最終工程の仕上げ研磨で使用します。小さなキズを消し試料を鏡面まで磨き上げます。繊維を起毛させた柔らかい素材のものが多いです。材質、毛足の長さが重要な項目になります。
軟質バフでは研磨材0.25〜3μm程度を使用します。
材質:
硬いものほど当たりが強くなり研磨力が上がります。また研磨材、潤滑剤を掛けた時に表面状態が変わりますので、実際の研磨条件で使う時のバフの状態を確かめる事が大切です。
毛足の長さ:
毛足が長いほどクッション性が出て当たりがソフトになります。粒度の小さい研磨材を毛足の長いバフに使用すると下に沈む研磨材が多くなり、当たりもソフトなので殆ど研磨されない状態になります。粒度の大きい研磨材を毛足の短いバフに使用するとキズを付けてしまい鏡面にはなりません。シリカ等を使用する場合は研磨材を逃がさないように毛足の長いバフを選びます。
軟質バフはキズ消しには最適なバフではありますが研磨時間が長いとダレが必ず発生します。極力短い時間で仕上げ研磨を完了させることが大切です。条件だしでは試料や樹脂で全く違ってきますので、どのくらいの時間研磨するとダレが出てくるのかを調べ、その時間までに仕上げ研磨を完了させる事が理想です。仕上げ研磨で多くの時間が掛かる場合は前の中間研磨の工程を見直す必要があるかもしれません。
軟質バフも硬質バフ同様に様々な種類が御座いますが、弊社では多くの種類の試料に対応できる「スエード」をお勧めしておりますので、ご興味をお持ちの方はサンプル品をお試し下さい。名前の通りのスエード生地ですが材質、毛足の長さ、柔らかさ、密度、耐薬品性等を考慮した特注品です。工場から直接ロール買いすることでコストを抑え、安定供給出来るよう国産にこだわりました。研磨材は弊社の1μmのスプレー、スラリーに最も合うように作られています。バフに使用する研磨材も研磨紙同様に同じ粒度でもメーカーにより若干異なりますので注意をしてください。この他にアルミナ向け、シリカ向け等御座います。
ダイヤモンド研磨材
バフ研磨で使用する研磨材です。弊社ではスプレー、スラリー、ペーストをご用意しております。それぞれ0.25〜15μmの研磨材があり、単結晶、多結晶、天然と3種類が御座います。
単結晶は正立方体のイメージで研磨出来るエッジの箇所が少ない為、研磨力は落ちますが安価です。多結晶は金平糖のイメージでどこに当たっても研磨できる為、研磨力があります。天然は特に形が整って無く単結晶と多結晶の間のイメージです。また、同じ粒度でも試料に対する当たりが変わるため付けるキズの大きさが若干ですが変わります。
ダイヤモンド研磨材:図
スプレー
スプレー缶にダイヤ砥粒を封入したものです。バフに向けてスプレーを吹き付けるだけなので非常に取扱いが簡単です。また研磨材以外の成分が殆ど無いため装置を汚さず日常メンテナンスも楽になります。ご使用した事がないという方はサンプル品をお試し下さい。特に現在アルミナをご使用で、研磨排水の処理や配水管の詰まり等でお困りの方にはお勧めです。研磨前にバフに吹き付けるだけで良く、使用する量も少ないので結果的にアルミナを使用するよりもコストダウンになったという場合も御座います。鉄系はアルミナでと言いますが、それは切断時など炭素系同士が激しくぶつかり化学反応が起る場合で、研磨ではこの現象は当てはまりません。鉄系材料であってもダイヤモンド砥粒で綺麗に研磨出来ます。
スラリー
研磨材を潤滑液等に混ぜて液状にしたものです。手動の場合はスプレーノズルを付けて吹き付けて使用します。自動供給器をお使いの方はスラリー以外の選択はできません。自動供給器を使用後は必ずホース内のスラリーを容器に戻すようにして下さい。ホース内でスラリーが固まり詰まる原因となります。また、定期的にホース内のアルコール洗浄を行うと効果的です。
スラリーは砥粒が凝固、沈殿等しないような薬剤を入れていますが長期間使用してない場合はスラリー全体が均一な状態ではなくなっているので、使用前に容器をよく振ってからご使用下さい。
ペースト
研磨材を固形のペーストに混ぜたものです。バフ上に塗り付けて使用しますが、塗る量や塗り方で研磨結果が変わるので上級者向けの研磨材と言えます。スプレーやスラリーで良い結果が得られない場合はペーストを試してみると良いかもしれません。また、バフの立上がり状態を良くするためにペーストを使用する場合も御座います。
酸化物研磨材
アルミナ
スラリー、粉末をご用意しております。鉄系材等の試料はアルミナで研磨した方が良い面が出るという場合が御座います。アルミナと言えば安価であるという点が最大の長所ですが、1回の研磨に使用する量が多い為、実はあまりメリットはありません。また、アルミナをお使いの場合は清掃、メンテナンスを1つの工程に入れて下さい。アルミナをお選びの際は価格ではなく研磨結果を第一に考えて下さい。
シリカ
シリカ、コロイダルシリカをご用意しております。アルミナ以上に清掃、メンテナンスに時間を掛ける必要がありますが、特に非鉄金属、複合材、電子材料等は大きな仕上げ効果が期待できます。化学研磨に加え機械研磨作用が働くためワンランク上の研磨面が得られます。
潤滑剤
潤滑剤も様々ですが最も良いとされているものがアルコールベースのものです。弊社では「青」がそれに当たります。研磨時の熱を取り潤滑性を与えて錆を防ぐ効果もあるという点で優れています。この他に潤滑性がアルコールより良い「クリア」、「オイル」があります。排水等の使用環境を優先される場合は「水性」をお選び下さい。