耐水研磨紙は文字通り水に強い研磨紙で、試料研磨で最も多く使われる消耗品の一つです。シリコンカーバイト(SiC)の砥粒が紙に固着されており、試料研磨の耐水研磨紙はΦ200~300mmもしくはΦ8~12インチのものを使用します。背面が糊無しと糊付きが有り作業性やランニングコストを考慮し選択します。
研磨紙の番手の数字(砥粒の大きさ)は国による規格で違いがあり、さらにメーカーにより同じ番手でも若干の違いがありますので、実際に研磨して確認する事が必要です。例えば、JIS規格の1000番はヨーロッパ規格では1200番相当、アメリカ規格では600番相当になります。研磨紙複数のメーカーから研磨紙を購入する場合は番手の管理に注意が必要です。
弊社ではJIS規格の耐水研磨紙 をご用意しております。ヨーロッパ規格、アメリカ規格の耐水研磨紙もご用意出来ますのでご希望の方はお問合せ下さい。
下記の表は弊社で取扱をしているJIS規格、ヨーロッパ規格、アメリカ規格の研磨紙の番手と粒度を割当てたものです。全く同じものではありませんが目安としてご参考下さい。
JIS規格(#) | ヨーロッパ規格(P) | アメリカ規格 | 粒度(μm) |
80 | 80 | 180 | |
120 | 120 | 120 | 120 |
180 | 180 | 180 | 80 |
220 | 180 or 220 | 180 | 70 |
240 | 220 | 60 | |
320 | 320 | 50 | |
400 | 500 or 400 | 320 | 40 |
500 | 600 or 500 | 35 | |
600 | 800 or 600 | 400 | 30 |
800 | 1000 | 20 | |
1000 | 1200 | 600 | 18 |
1200 | 1500 | 15 | |
1500 | 2000 | 10 | |
2000 | 2400 | 8 | |
2400 | 800 | 6 | |
4000 | 4000 | 1200 | 4 |
研磨工程の番手の組み方の基本は「倍ずつ増やす」です。
研磨工程の例
① #120 → 240 → 500 → 1000 → 2000
② # 220 → 400 → 800 → 1500
③ #320 → 600 → 1200
というような基本的な番手の組み方を試し、各工程を観察しながら番手の微調整していきます。
耐水研磨紙の寿命は自動研磨で1~2分程度(試料個数、研磨加圧、研磨紙サイズによります)と言われていますが、現実的にはランニングコストを抑えるために、2分以上使用したり複数回使用される方も多いと思いますが、基本的に研磨紙は使い捨てと考えて下さい。1分を目安に研磨条件を作る、一度使用した研磨紙は手動研磨用やエッジ取り用として使用する等で使い分けが出来ると、無駄も少なく良い研磨結果が出ます。
実際に研磨をすると、30秒位で研磨の音が変わるのが解ると思います。これは砥粒の脱落やエッジが丸みを帯びて、切削状態が変わるからです。これが2分も過ぎると、擦っているような状態になります。削れなくなった砥粒で出来た傷は直線的な傷ではなく、引きずったような歪んだ傷になり周辺が硬くなります。それは、紙をカッターで切った時と、手でちぎった時のような大きな差になります。次の番手では、その傷を修正する為に除去する量が多くなり、結果また長く研磨することになり歪んだ傷を作る悪循環が生まれます。研磨が足りないからといって、むやみに研磨時間を長くすると、削れない砥粒で大きな傷を作るだけでなく、片研磨の原因にもなりますので気を付けましょう。
特に、自動研磨機での場合にこの差が大きく出ます。さらに言うと、最初の面出しで発生しやすい問題です。面出しは、平面になるまで研磨作業を行う必要がある為、必然的に研磨時間が長くなり、引きずった傷や、片研磨になりやすくなります。面出しがしっかり出来ていないと仕上研磨で削れない箇所が出てきてしまい、結果またやり直しになり、多くの消耗品を使うことになってしまいます。
解っていても、もったいなくて捨てれないという方へ、2分以上使用した研磨紙の利用方法のご提案です。
手研磨では、微調整が行えるのでもう少し長く使えます。正し、ある程度の研磨技術が必要です。
樹脂埋込後は樹脂のエッジが引っ掛からないようにテーパーを付けなければなりません。そのエッジと利用として使うことをお勧めします。また、常温樹脂で埋込をすると上面が平行でないので、その上面研磨用として使用することも良いと思います。
透明の常温樹脂に埋め込むと横側が荒れていてクリアに見えない場合があります。横側を研磨することで奇麗に見えるようになります。
例えば、面出しに#120で5分掛かるなら、2枚使って3分で面出しした方が平面性も高く、面の傷の状態も良い結果になるはずです。面出しで奇麗な平面が作れれば、面全体が均等に研磨紙に当たるので、以後の研磨は、1分以内に出来ることが多く全体の工程が短く出来る場合があります。
面出しに時間が掛るという方は、研磨紙の使用時間を見直してみると改善する可能性があります。
研磨紙