ダイヤモンド研磨材はバフ、研磨プレートで使用する研磨材です。研磨材の種類はスプレー、スラリー、ペーストの3つが主流です。同じ研磨材でも種類が違うと研磨結果が変わります。それぞれの性格を理解し、適したものを選びましょう。
【種類別の遊離性】
遊離性は、砥粒の自由度や転がりやすさと言われるものです。遊離性が高いほど大きな傷が付きにくい傾向があります。バフに使われる研磨材は遊離砥粒と言われ中間研磨、仕上研磨に使用されます。逆に研磨紙や研磨ディスクは固定砥粒になり大きな傷を付けやすいので荒研磨で使用されます。
スプレー缶にダイヤ砥粒を封入したものです。バフに向けてスプレーを吹き付けるだけなので取扱いが簡単で誰でも使用出来て、個人差が出難いという特長があります。スプレータイプは、ほぼ研磨材単体で塗布されるので、そのままだと遊離性は低い状態ですが、研磨材自体の遊離性を考慮する必要が無いので、潤滑剤による調整が簡単に行えます。他のタイプの場合、研磨材以外の成分により遊離性の調整が限られてしまいます。
自動研磨機で自動供給器が無い場合は、砥粒残りの良いスプレーが最適です。潤滑剤だけ自動供給が出来る場合は、最初に多めにスプレーで塗布しておけば、5分程度の研磨は人が付いていなくても問題ありません。
また、研磨材以外の固形成分が殆ど無いため、排水が少なく済み環境に優しく、装置を汚さないので日常メンテナンスも楽になります。アルミナ等の酸化物研磨材をご使用で、研磨排水の処理や配水管の詰まり等でお困りの方にもダイヤモンドスプレーがお勧めです。研磨条件を作り直すのが面倒という場合は、弊社にて条件出しを行うサービスがありますので是非ご活用ください。
研磨材を潤滑液、分散剤等に混ぜて液状にしたものです。スプレーノズルを付けて吹き付けて使用することも出来ますが、主には自動供給器を使用する場合に使われる研磨材です。液状で塗布されるので遊離性が最も高いタイプです。基本的にソフトな傷になりますが、スラリーの成分、粘度等により傷の大きさが変わります。潤滑剤の量が多かったり、研磨盤の回転数が早いと砥粒が逃げて行ってしまうので注意が必要です。
スラリーは研磨材が沈殿していないか確認が必要ですが、中身が見えるので残量の管理は簡単です。自動供給器で使用している場合は、1回の研磨で使用する量が解るので交換の時期も計算出来ます。
自動供給器で使用した後は、必ずホース内のスラリーを容器に戻すようにしましょう。ホース内でスラリーが固まり詰まる原因となります。また、定期的にホース内のアルコール洗浄を行うと効果的です。
研磨材を増粘剤に混ぜてペースト状にしたものです。多くは使用上便利な為、注射器の容器に入れらています。バフ上に塗り付けて使用しますが、塗る量や塗り方で研磨結果が変わるので上級者向けの研磨材と言えます。上手く使えると使用量を少なく抑えられるので最も経済性の良い研磨材になります。
増粘剤の成分により遊離性が低くなるデメリットもありますが、砥粒に膜を張り高い潤滑性を与え、砥粒が試料に刺さり難くなるというメリットもあります。岩石試料に対しペーストが最も良いとされていますが、その要因は増粘剤の働きによるものと言われています。スプレーやスラリーで良い結果が得られない場合に、ペーストを試してみると良い結果になったということもあります。
また、新品のバフは研磨材との馴染みが悪い傾向があります。その為、捨て研磨などを行い馴染ませたりしますが、ペーストの場合はその必要が無く使用出来ます。バフの立上がりだけペーストを使用することもあります。裏技的にスプレー、スラリーとの組み合わせで研磨すると良い結果になる事もあるそうです。
項目 | スプレー | スラリー | ペースト |
遊離性 | 〇 | ◎ | ▲ |
潤滑性 | X | 〇 | ◎ |
使いやすさ | ◎ | ▲ | X |
再現性 | 〇 | 〇 | ▲ |
管理のしやすさ | X | ▲ | 〇 |
コスト | 〇 | ▲ | ◎ |
特記事項 | 余計な成分がない | 自動供給器で使える | 増粘剤の働き |
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