クーラントの運用、管理は切削油の選定から始まります。切削油には水溶性切削油と不水溶性切削油があります。不水溶性切削油は加工性能面で優れますが、引火性があり火災のリスクがあり、金属試料に影響を与える可能背もあることから精密切断機では水溶性切削油を使用します。水溶性切削油は大きく分けて3種類に分類されます。
・エマルジョンタイプ(A1種)
・ソリュブタイプ(A2種)
・ソリューションタイプ(A3種)
これらの詳細情報については、切削油メーカーのホームページなどで詳しく説明されているので割愛させて頂き、精密切断機メーカーの視点から最適な切削油をどう選べばよいかを考えたいと思います。
一般的に精密切断で使用する切削油は、切断する場面にフォーカスしてソリュブ、ソリューションタイプが良いとされています。しかし、少し視野を広くし他の要素も鑑みると違った選定基準が見えてきます。
エマルジョンは潤滑性に特化しており加工機では重宝されますが、作業性や冷却性、洗浄性、耐久性などが劣る為、精密切断機では敬遠されがちです。
エマルジョンで切断すると試料に油分がまとわり付きます。油成分が試料表面に残っていると次工程の試料埋込の際、樹脂と試料の密着性が落ちて隙間が生まれす。その為、切断後の洗浄をしっかり行う必要があり洗浄に時間が掛るというデメリットもあります。
このような理由から、エマルジョンは精密切断では余り使用されてきませんでした。しかし、エマルジョンが持つ優れた潤滑性は他にはないメリットをもたらすが最近解ってきました。
まず、エマルジョンを使用している装置は故障率が低いということです。エマルジョンのベタつきは作業性を悪くしますが、機械の特に可動部に置いてこのベタつきは適度な潤滑性と油膜を生み、良い作用を与えます。
また、多くのエマルジョンは潤滑性能の一つである極圧性にも優れています。極圧性が弱いと高い負荷が掛かった場合に、油成分が壊され摩擦により大きな負荷が掛かります。焼入鋼などを切断すると内部応力により、切断した箇所が締まり砥石を挟んで回転を止めてしまうトラブルが起きることがあります。この砥石を締め付ける力が強く切断が上手く出来ないという場合は、エマルジョンに変更するというのも一考です。
◆ 装置のトラブルが多い
◆ 焼入鋼を切断している
◆ 試料に焼けが出る
精密切断に置いて最も汎用性のあるのがソリュブです。性能面から、エマルジョンとソリューションの間と位置付けされます。凡そ合っていますが、細部に目を向けるとソリュブならではの特徴が見えてきます。その特徴の中でも洗浄性の高さがソリュブの大きな魅力です。洗浄力にはクーラントの粘性が関係しています。エマルジョンは粘性が高すぎ、ソリューションは粘性が低すぎる為、洗浄力でやや劣ってしまいます。ソリュブの適度な粘性が洗浄において最も効果を発揮するのです。
切断砥石の切断面は小さな砥粒があり、その砥粒で削るように切断していきます。しかし砥粒は小さい為、切断屑などが表面を覆ってしまうと全く切れなくなってしまう「目詰まり」が起こります。これを防ぐ為に洗浄能力が大切です。特に、非鉄金属や樹脂などの軟らかい試料の切断には洗浄能力は必須です。
冷却性にも優れており、潤滑性、耐久性、作業性も良好なので、精密切断の場合はソリュブを選んでおけば大間違いは無いと言えます。しかし、注意すべき点は泡立ちしやすいという性質です。泡立ちが起きると、得意の洗浄性、冷却性が発揮できなくなり、切断面の状態にも影響が出ます。ソリュブタイプを選択する際は、消泡性のあるものをお勧めします。
◆ 色々な試料を切断する
◆ 非鉄金属や樹脂を切断する
◆ どれを選定して良いか解らない
冷却性と消泡性、耐久性、作業性に優れ精密切断との相性は良いとされています。精密切断では試料切断面に掛かる負荷を減らし、ダメージ層を薄くすることが求められます。冷却性は試料の発熱を速やかに取り除き、切断時の熱膨張などを抑えダメージを最小限にする留める効果があります。ソリュブも冷却性能は高いですが、ソリューションは同等かそれ以上の冷却性能を持ちます。
また、ソリュブと違い基本的に消泡性にも優れているので、泡立ちで苦労されている場合はソリューションに変更してみると良いかもしれません。さらに、エマルジョンとは対照的にサラサラしており油分が付きにくいので、試料の洗浄も簡単で作業性にも優れます。
デメリットは洗浄性、潤滑性が少し劣るので目詰まりを起こしやすい材料や重い負荷が掛かる難材料の切断には向いていません。また、廃棄コストが他に比べ高くなる場合がありますので、使用前に産廃業者に確認しましょう。
◆ 長時間切断を行う
◆ クーラントの交換頻度を減らしたい
◆ 洗浄工程を簡単にしたい
切削油は材質、使用頻度、社内ルールなど色々とある為、弊社では切削油の指定はしておりませんが、切削油の選定が出来ないという場合は、精密切断で必要な特性に特化した『アブクール』を推奨しております。『アブクール』はソリュブタイプのもので多くの材質をカバー出来る汎用性の高い切削油です。現在ご使用の切削油で切断が上手く行かない、装置に錆が多く発生するなどのお困りごとが有りましたらご検討下さい。
中型精密切断機 手動タイプ
METACUT-302
メタカット302は最大でφ305mmの砥石が取付可能な手動の中型切断機です。必要最小限の機能に絞ったことで、簡単に取扱いが出来て、故障率の少ない装置になりました。経済性にも優れています。
中型精密切断機 手動/自動タイプ
SERVOCUT-302
サーボカット-302は最大でφ305mmの砥石が取付可能な中型切断機です。精密切断で最もご要望の多い、試料高50mm前後の金属試料の切断を得意としています。手動と自動どちらにも対応し、テーブル送り切断とチョップ切断が標準切断方法になります。
中型精密切断機 手動/自動タイプ
SERVOCUT-402
サーボカット402は最大でφ405mmの砥石が取付可能な中型切断機です。サーボカット302よりも一回り広いテーブルで、取付けられるクランプ、オプションも多くなります。テーブル送り切断とチョップ切断が標準切断方法になります。
大型精密切断機
SERVOCUT-502
サーボカット502は、最大でΦ510mmの砥石が取付可能な大型切断機です。大型切断機は、主に鋳物やギアなどの大きい部品の切出しに使用されますが、サーボカット502は切断後、研磨に移行可能なレベルの切断面を提供出来ます。自動切断がメインの仕様ですが、オプションで手動切断機能も付けることが出来ます。
大型精密切断機
SERVOCUT-602
サーボカット602は最大でΦ600mmの砥石が取付可能な大型切断機で、サーボカットシリーズ最上位機種です。大型切断機は、主に鋳物やギアなどの大きい部品の切出しに使用されますが、サーボカット502同様に切断後、研磨に移行可能なレベルの切断面を提供出来ます。砥石移動機構と回転テーブル機構を装備する最先端の精密切断機です。