精密切断機のお掃除は切断屑を取除くが基本です。切断して終わりではなく、切断して切断屑を取除く作業までを一連のルーティンとしましょう。
ここでは、中型、大型切断機を対象とした説明をします。
切断後には、切断室内に切断屑が飛び散っている状態です。まずは塊りとなった切断屑を取除き、細かい切断屑はウエスや雑巾で拭き取り出来るだけタンクへの流入を減らしましょう。この時、切断室の側面の壁、天井も切断屑が付いていれば拭き取りましょう。
一日の終わりには、砥石を外して砥石カバーや軸回りに着いた切断屑を取除きましょう。テーブル同様に切断位置に最も近い箇所になりますので、切断屑の汚れが多く付着しています。これを放置していると、切断軸周辺のトラブルが発生します。1日1回は掃除を行って下さい。
その後、洗浄ホースで切断室を洗い流し最後にウエス等で水分を拭き取ります。切断室の前面の窓も1日1回は掃除しましょう。窓の汚れは表面に浸透し取れなくなります。曇りの原因になり段々と見え難くなってきます。
切断する試料によって、切断屑が塊りとなるなったり、砂の様にサラサラのようになるものが有ったりと切断屑の形状も変わります。中型の精密切断機になると、排水の入り口に簡易フィルタが付いています。大きな切断屑をここでフィルタリングします。タンクのフィルタには多くの切断屑が溜まりますので、1日1回は掃除を行いましょう。
この掃除が出来ていない場合が多く見られます。クーラントを安定させる効果が大きいので少し手間ですが、是非習慣化して下さい。
メッシュを通過した、細かい切断屑はタンクの底に溜まります。この切断屑も出来るだけ取除きます。取れる範囲で構いませんので定期的に行いましょう。
鉄系の切断屑であれば磁石を使った清掃が効果的です。また、マグネットフィルターを設置すれば清掃の手間が減り工数削減になります。
非鉄金属など磁石に付かない場合は、側溝掃除用のスコップや掃除用のネットなどで切断屑を取除きましょう。
ポンプも汚れが固着しやすい箇所ですので、拭き取り掃除を行って下さい。ポンプのトラブルは、汚れの固着や錆により回転時に負荷が掛かりサーマルスイッチ(過電流検知)がトリップしてしまうというものです。定期的な掃除をしていれば、まず発生しないトラブルです。
タンク内の掃除頻度としては、1週間に1回行うようにして下さい。これと合わせて、クーラントの色の変化や臭い、バクテリアの発生が無いかなどの確認をして下さい。また、クーラントの水面に油が浮いていたりする場合は、切断室のグリスや潤滑剤が流れ込んでいる可能性があります。表面に浮いた油分を取除き、切断室内に過剰にあふれているグリス等があれば拭き取り清掃しましょう。
屈折計、pH測定器があれば清掃時に合わせて確認しましょう。
クーラントを交換する時は必ずタンク洗浄を行いましょう。タンク内の壁や底板には金属イオンやバクテリアが残っており、掃除をせずに新しいクーラントを入れても直ぐに劣化が始まるからです。
タンク洗浄は、中性洗剤やアルコール等を使ってしっかり汚れを取る事が大切です。腐敗臭や白い異物等が見られる場合は、バクテリアが発生していると考えて下さい。その場合、通常の洗浄作業に加え、洗浄後に天日干しを1日行うと効果的です。
長期休みになどで、装置を使用しない場合はクーラントが滞留することでバクテリアの大量発生につながる可能性があります。長期休み前のタイミングでクーラントを捨てて、タンクを洗浄した状態にしておき、休み明けに新しいクーラントを入れるというサイクルが理想的です。
◆ 装置の錆、腐食によるトラブルの原因は、クーラントの劣化によるものであり、劣化は金属イオン、異種金属接触腐食、バクテリアが関与している
◆ 切断する材質、頻度、環境を考慮し切削油を選定することが大切である
◆ クーラントの機能を最大限に発揮するには、濃度管理、pH管理が必要である
◆ クーラントの劣化を防ぐには、日々の掃除が最も効果的である
掃除や管理は誰もがやりたくない作業の一つです。面倒ですが、それを行わずに放置していると装置が故障しもっと面倒な事になってしまいます。研磨機や埋込機は凡そ年数相応に劣化していきますが、精密切断装置は違います。3年しか使っていなくても10年使用したような錆びだらけの装置もあれば、10年使っても3年しか使用していないようなトラブルレスの装置もあります。その違いは、日々の掃除やクーラントの管理といった日常メンテナンスが出来ているかで決まります。
解っていても通常業務が忙しく掃除の時間が取れない、と言った場合は弊社にご相談下さい。弊社では、掃除がメインの点検作業をあなたに代わってサービスマンが実施することも可能です。装置の健康状態も合わせて確認しますので、不具合が起こる前に適切な処置を行い装置が止まってしまうリスクを下げることが出来ます。日常メンテナンスが不十分な方は、弊社点検サービスをご依頼下さい。
中型精密切断機 手動タイプ
METACUT-302
メタカット302は最大でφ305mmの砥石が取付可能な手動の中型切断機です。必要最小限の機能に絞ったことで、簡単に取扱いが出来て、故障率の少ない装置になりました。経済性にも優れています。
中型精密切断機 手動/自動タイプ
SERVOCUT-302
サーボカット-302は最大でφ305mmの砥石が取付可能な中型切断機です。精密切断で最もご要望の多い、試料高50mm前後の金属試料の切断を得意としています。手動と自動どちらにも対応し、テーブル送り切断とチョップ切断が標準切断方法になります。
中型精密切断機 手動/自動タイプ
SERVOCUT-402
サーボカット402は最大でφ405mmの砥石が取付可能な中型切断機です。サーボカット302よりも一回り広いテーブルで、取付けられるクランプ、オプションも多くなります。テーブル送り切断とチョップ切断が標準切断方法になります。
大型精密切断機
SERVOCUT-502
サーボカット502は、最大でΦ510mmの砥石が取付可能な大型切断機です。大型切断機は、主に鋳物やギアなどの大きい部品の切出しに使用されますが、サーボカット502は切断後、研磨に移行可能なレベルの切断面を提供出来ます。自動切断がメインの仕様ですが、オプションで手動切断機能も付けることが出来ます。
大型精密切断機
SERVOCUT-602
サーボカット602は最大でΦ600mmの砥石が取付可能な大型切断機で、サーボカットシリーズ最上位機種です。大型切断機は、主に鋳物やギアなどの大きい部品の切出しに使用されますが、サーボカット502同様に切断後、研磨に移行可能なレベルの切断面を提供出来ます。砥石移動機構と回転テーブル機構を装備する最先端の精密切断機です。